Drupal開発実績 大阪大学 人間科学研究科 / 人間科学部

大阪大学 人間科学研究科 / 人間科学部ウェブサイトのスクリーンショット大阪大学 人間科学研究科 / 人間科学部 について

約23,000名のの在学生が学ぶ、国立大学の中でも日本最大規模の大学です。人間科学部は「学際領域」に取り組んでいます。大阪大学は国立大学の中でも先進的に学際領域への取り組みを始めました。
※学際領域:一つの学問分野では解決できない研究領域に対し、二つ以上の学問分野を統合して横断的に研究を進める領域

有名国立大学がDrupalを選んだ理由は?

広報に最適

人間科学部は、学部、大学院、受験生、教員、同窓生など複数のステークホルダーそれぞれへの適切な情報発信を求められていました。特に、優秀な学生を確保するためにより良い広報活動を模索されていました。その中で「ウェブを通じた情報発信」の重要性を認識しておられ、それを達成するためのプラットフォームとしてDrupalは適していました。

多言語サイト(バイリンガルサイト)の必要性

大阪大学は2007年に大阪外国語大学を統合し、学内カルチャーがこれまで以上にグローバルになりました。また人間科学部は海外からの留学生を多く募集しており、サイトの情報発信は日英バイリンガルが求められていました。Drupalは多言語サイトに適したプラットフォームです。

Drupalの海外事情に詳しい研究者の存在

Drupalは各国政府、大学、グローバル企業での利用が進んでいます。そのような海外事情に詳しい研究者の方が、大学サイトとDrupalの親和性を深く理解されていました。

大学 学部サイトのウェブ活用課題は?

Webガバナンス

日本の大学サイトは大学、学部、研究者が別々にサイトを立ち上げ独自管理する状況が続いています。そのため、包括的にWebガバナンス(情報ガバナンス)を行う環境が整っていません。

ミスなく効率的な情報管理

一般的なCMSでサイト運営すると、ページ単位で情報管理して行く必要があります。

例えば複数のページにAという情報があって、その情報は多くのページから参照されているとします。それらを変更したい場合、同じ作業を複数ページに対して行うため時間がかかります。さらに、同じ作業が複数発生することで編集ミスが発生しやすくなります。

大学サイトに適した情報発信・管理とは?

一つのプラットフォーム、統一したデザインの中で豊富な情報を展開すること


ウェブ上のプレゼンス向上

当初数十ページだった学部サイトは、現在千ページ規模に増加しています。結果検索エンジン対策によく働き、ウェブ上のプレゼンスが向上しました。

一度の編集で複数箇所が自動更新可能

大学サイトは情報量が多いだけでなく、同じ情報が複数のページで展開されます。Drupalを導入することにより、一度の編集作業で関連ページが自動更新されるようになり、編集効率が大幅にアップしました。

こちらの教授情報をご覧ください。人間科学部は複数の分野を横断的に研究するため、一人の教授が数種の講義を担当するケースが多数あります。こちらの教授に紐付く講義情報は「共生社会論」「教育文化学」になります。その教授情報に紐付き、たくさんの著作物リンクが必要になります。

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いくつかの情報は他ページでも利用されていますが、本サイトは複数データの集合体としてページを生成しているため、一度情報を書き換えればそれに紐付く全ての箇所が自動的に更新されます。

多言語サイトの管理は難しい?

タブの切り替えで翻訳ページを表示

情報は言語タブを切り替えるだけで翻訳された英語コンテンツが表示されます。本プロジェクトはDrupal 7(というバージョン)にて開発を行いましたが、これまでになかった新しい構造を新規開発することに成功しました。

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日英両ページを一つのかたまりとして管理できる「Entity translation」

Drupal7の標準翻訳方式では、同じ情報を持つ日英両ページを同一Nodeとして定義することができませんでした。

従来の日英サイト構造

http://www.xxxxx.ac.jp/researchers/509
http://www.xxxxx.ac.jp/researchers/510

今回大量の情報管理を効率化するために、それを可能にしました。このような仕様を「Entity translation」と呼びます。

Entity translationによる構造

http://www.xxxxx.ac.jp/ja/researchers/509
http://www.xxxxx.ac.jp/en/researchers/509

このように、Entity translationでは日英各ページを同一Node IDとしてまとめることができます。

大学サイトは多様なユーザーニーズにどう対応する?

大学サイトのユーザーはバックグラウンドが多様であり、様々なニーズがあります。参考に以下をご覧ください。

ユーザー ニーズ
受験生 オープンキャンパス、出願、入試情報を見逃したくない
在学生 時間割、学位、留学、就職支援など情報そのものが生活に大きく影響
卒業生 各種証明書、同窓会などネットワーキング要素
教職員 事務情報や研究支援情報など、専門性を深めるための相談窓口

これらのニーズを満たしたい場合複数のアプローチが考えられますが、私たちはIA(Information Architecht)設計を重視するアプローチをとりました。

ステークホルダーごとにナビゲーションを設定

サイトナビゲーションの最終形を決定する前に全学サイト、他学部サイトを徹底調査しました。このプロジェクトの多くの時間はこの調査とIA設計に使ったと言っても過言ではありません。

調査の後、多様なユーザーとそのニーズを満たすには「探したい情報が視認できる」「サイト利用中に迷わない」「今どこにいるかが分かる」ということが非常に大事だと分かりました。これを実現するIAを実装できれば、ユーザー体験を高めることができると確信しました。具体的には以下のような実装を行いました。

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グローバルナビとなる「学部受験生」「大学院受験生」「在学生」をクリックすると、左カラムで見える情報を変えています。つまり、ユーザーにあった情報をナビゲートするようなIAを企画・実装しました。

全学サイトや他学部サイトは情報の見え方に若干のカニバリがあり、迷うユーザーもいるような構造だったため、本サイトではユーザービリティが改善されるよう配慮しました。

パンくずナビ設置で迷わない

大学サイトの多様なユーザーニーズに対応するためにはぞれぞれのユーザーが迷わないことが大事だと考えました。そのため、「各ユーザーの目的地へのアクセス(行き方)は一つにしたほうがいい」と考えました。

複数の道から目的地に行ける場合、逆に迷った時に「戻り方」や「目的地へのアクセス」がわからなくなってしまいます。それを解決するためにパンくずナビを設置し、目的地への道を規定しました。

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編集スタッフ増加には対応できる?

承認ワークフロー、予約投稿機能を標準装備

学部サイトの編集スタッフは教員、職員、研究員などが含まれます。その数は最大数百人規模に拡大する可能性があります。そのため関係者が独自に情報発信でき、情報の正確性を損なわないように「承認ワークフロー」を実装しました。また投稿タイミングも自由に設定できるよう「予約投稿機能」を追加しました。

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大学サイトにおけるDrupal導入のメリットは?

圧倒的な実績、豊富なケーススタディ

アメリカトップ100大学におけるDrupalのシェアは70%以上と言われています。世界中の大学にたくさんのケーススタディがあり、日本の大学でも活用できる事例があります。

テクノロジー業界には「Start small, scale fast(小さく初めて、素早く拡大する)」という考え方があります。最初は学部単位で小さくDrupalを導入し、最終的に全学統合プラットフォームに育てることで、より良いサイト運営ノウハウを横展開し発信力を高めることができます。

統一ブランドで情報発信、他大学との差別化

人口減少に伴う「大学の経営力強化」が話題となって10年ほど経ちます。学部の統廃合や独自戦略でオリジナリティを再定義する大学が多い中、ブランドを発信するデジタルプラットフォームはまだ改善の余地があるように思います。Drupalは大量の情報を効率的に管理・発信することが得意なプラットフォームですであり、ブランドを大切にする大学に適したプラットフォームです。